ホログラフィ技術を用いた光情報処理
光渦とよばれる現象が注目されています.これはらせん形状をした位相をもつ光のことであり、回転の中心の強度がゼロになりドーナッツ形状のビームパターンを形成します.光渦は軌道角運動量という新しいパラメータをもっています.例えば、右回りと左回りの光渦を作ることができます.さらに回転数を増やすこともできます.回転数と方向により正負の符号をつくったり、また位相の回転を複素数にそのまま割り当てることが考えられており、現在のデジタルコンピュータにおける二進符号とは異なる多値信号による新しい情報処理が期待されています.
光の渦は計算機ホログラム(CGH)を用いて人工的につくることができます.CGHはコンピュータで光の伝播をシミュレートしてつくったホログラムのことで物理的には存在しない光波でもつくることができます.図は光渦をもつビームの位相が伝播とともに回転している様子を表しています.赤が位相0、青が位相2πとなっています.次に表示される二つのラインは光波の実部成分と虚部成分がゼロになる位置を表しています.中心が唯一交差する位置であり振幅がゼロになる光渦が発生していることがわかります.
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